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特別な光景、特別な瞬間:写真家・広川泰士

70年代初頭から写真を撮り始め、今も広告写真やテレビコマーシャル、映画の撮影監督など第一線で活躍する写真家・広川泰士さん。芸術的な作品集も意欲的に発表し、これまでに国内外で様々な賞を受賞。その作品は日本国内のみならず、海外のいくつかの有名美術館にもコレクションされています。彼がこれまでカメラでとらえてきた数々の“絶景”や“特別な瞬間”。果たしてそれはどのように切り取られるのでしょう。日本を代表するフォトグラファーの目には、私たちとは違う「特別な光景」が見えているのでしょうか?

写真を始めたきっかけは何でしたか?

最初は8ミリをまわしていたんです。二十歳くらいの頃かな。それを編集する中で、ふと1コマが面白いなと思ったんですよね。映画のフィルムって、1コマ1コマを見るとぶれているんです。その1コマが面白くて、あ、写真をやってみたいと。そこからですね。

広川さんにとって“出世作”的な作品は何でしょう?

自分ではよくわからないんだけど、たとえば最初に出した写真集『SONOMAMA SONOMAMA』なんかはけっこう国内外で評判になりましたね。87年に出た本で、日本のデザイナーズブランドの洋服を借りてワゴン車に積み、田舎の人たちに出会ったその場で着てもらって撮るというものでした。あれは面白かったなあ。コムデギャルソンとかヨウジヤマモトとかイッセイミヤケと言っても誰も知らないし、しかもファッションショー用の服だからド派手なんですよ。コレ誰が着るの?みたいな。それをモノクロで撮ることで、結果的に派手さは押さえられ、着た人のキャラクターが前面に出るような作品になりました。

『SONOMAMA SONOMAMA』

壮大な自然や建造物など、普通にはなかなか行けないロケーションの作品を多く撮られています。そこに出向くには相当な労力、そして情熱が必要だと思いますが、その源は?

そうですね…。きっと、あとさき考えないんでしょうね。好奇心の方が先にいっちゃうんです。いろいろ考えれば危険なんじゃないかとか、やめておいた方がいいかなと思うんだろうけど、気持ちが先にいっちゃうから全然そんなことは考えない。

『TIMESCAPES – 無限旋律 -』の時は、12年間かけて世界中の砂漠に行き、月のない時期を選んで野宿をしながら、一昼夜で1枚の写真に仕上げるということをしました。最初の2~3年はそういう所に身を置くのが怖かったんだけど、そのうちにすごい楽しみになっちゃて。肉体的には過酷なんだけど、何かをもらってくるというか、すごく元気になってくるんです。今でこそパワースポットとか言うけど、本当に何かあるんだろうなって。撮影という名目で精神のリハビリに行っていた感じですね(笑)。

『TIMESCAPES – 無限旋律 – 』

そういった非日常的な場所でのエピソードを何か教えてください。

モンゴルで定点撮影していた時のある日、目の前を羊の群れが大挙横切っていきました。で、2日くらい経ってから、小さい娘さんを連れた夫婦が歩いて来た。「羊の群れを見なかったか?」と。僕は「あっちに行った」と。でも彼らは全然急ぐ感じはなく、ひとまず座って僕が出したお茶を飲み、ひとしきり話してから、「じゃあ」とまた歩いて行く。なんかいいなって思いますよね、そういう感覚。そんな話はいろいろありますよ。

広川さんはオリジナルプリントにもこだわり、今なお自室の暗室で作品をプリントし続けています。広川さんにとって、プリントとは?

僕は写真を始めた20歳の頃に、たまたま近所のおじさんに使わなくなった暗室セットをもらい、自宅の階段下の物置を暗室にしてプリントし始めました。以降は引っ越すごとに絶対に暗室は作ってきました。写真家にもよるけど、僕にとってはプリントは写真を撮影するのと同じくらいの比重で重要なものだし、なくてはならないものですね。

オリジナルプリントには、印刷物には伝えきれない良さがあります。やっぱり紙にインクを吹き付けたものと、化学反応で浮き上がってくるものの違いがある。最近カラーのインクジェットは良くなっているけど、モノクロはやっぱりダメですね。別物だと言いたい(笑)。

広川さんの写真には様々なものごとの“特別な瞬間”が写っている気がします。そういう瞬間はどのように切り取るのでしょうか?

それは意識してないのでわからないですね。無意識のものだと思います。無意識の中から出てくるものって、きっと自分の持っている感性だったりするんじゃないかな。他の人もそうだと思いますよ。考えてからこうしようというのは、もう既にそこで“我”とか“邪念”みたいなものが働いていると思うんですよね。無意識のうちにやっているものがピュアなんじゃないかなって。

人を撮る時でも、なんかこねくりまわそうとか、ライティングでこうしようとか、あんまりそういうことをするとよくないんですよね。だから最近は特に自然光で撮るようにしたり、現場に行って会ってから撮り方を考えるとか、フィルムも1本しか写さないとか、なんかそんなふうになってきましたね。現場に行って、その人の家とかアトリエとか事務所とかをボーっと見ていると、「おっ」と思うものがあるんですよ、絶対に。

著名人の家族のポートレートを撮った「家族の肖像」シリーズにも、特別な一瞬がとらえられていると感じます。

あれも僕が何か注文するわけではなく、素のままになるようにして、空気を撮影するだけなんです。最初はどうやって立てばいいですか?みたいに訊かれるんです。まあ写真館で撮るような感覚で来るんでしょうね。でも僕はそういうことを全て壊したいと思っているから、好きなようにしてください、と。するとだんだん家の中にいる家族になってくるんです。仲がいいとか、子供が反抗期でうまくいってないとか、話を聞かなくても家族関係が出てきて、それがちゃんと写っちゃうんですよね。やっぱり写真って嘘つけないな、と思います。

広川さんのポートレート

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