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記憶を呼び起こすデザイン:スティーブン・ケン

時折、人生の大冒険は思いがけない些細なことから始まることもあります。有名家具ブランドに在籍していたスティーブン・ケンさんの身に起こったことがまさにそれです。数年前、好奇心からソファーを解体し、中の構造を調べてみることにしたスティーブンさん。この好奇心の火花が燃え上がり、彼は自分で必要なもの以外削ぎ落とした家具を作ろうと決意しました。現在はロサンゼルスのデザインスタジオで、シンプルな家具とレザーアクセサリーの創作をしています。そのデザインはどんなインテリアをもすぐにおしゃれにしてしまいます。今回のウエストコースト特集では、彼の人気上昇中のデザイン家具について迫りました。

家具のデザインと製作を始めたのはいつですか。一番初めのデザインの原動力は何だったのでしょうか。

5年前、ソファがどのようにできているのか気になって、布を張り替えるついでに解体して遊んでみたことがきっかけです。それがとても面白くて、楽しかったんです。構造を人間の体みたいに骨、筋肉、肌の3要素に分けてみました。家具の場合はそれらがフレーム、バネ、生地です。溶接されたスチールのフレームがあったので、貯蔵物資の輸送に使われていたラバ用のベルトを使い、フレームに編み上げました。それから古い軍用シェルターテントの布でできたクッションをその上に置きました。その時から家具デザインの虜になりましたね。

カナダのご出身ですが、どうしてロサンゼルスが第二の故郷となったのですか。

高校を卒業したあと、友だち(彼もまたスティーブという名前でしたが)とジーンズを作らないかという話になりました。20歳のときラスベガスでのトレードショーに参加したあと、すぐにLAに引っ越しました。あのときの旅はとても楽しかったですね。あの旅のおかげで、起業家に必要な闘争心と粘り強さが身につきました。

スティーブンさんのデザイン哲学を簡単な言葉で表すとしたらどのようなものでしょうか。

良いデザインは究極にシンプル、かつ機能的な形をしていて、家具を包む素材が過去の物語を紡ぎます。

インヘリタンス・コレクション(Inheritance:遺品、受け継がれた物)は様々なメディアに取り上げられ、知名度がかなり上がったと思いますが、どこからこのコレクションのアイデアは来たのでしょうか。

そもそもが家具を解体してみようという単純な好奇心から始まりました。よりシンプルで、美しい家具に魅力を感じ、作成工程で新しいストーリーが生まれることに刺激を受けました。そのとき私の周りにあったのが、ビンテージの軍用生地でした。今でもそうですが、当時も私の周りにある世界からインスピレーションを得ていたんです。形はそぎ落として、素材からもっと創造力を広げる。例えばヨットに使われていた素材など、他の産業の素材もたくさん使います。

スティーブンさんのデザインで繰り返し用いられている素材といえば、レザー、ミリタリーキャンバス地、そして真ちゅうですね。なぜこれらの素材がお気に入りなのでしょうか。

過去を語るからです。草木がレザーの組織に入り込んで、豊かで味わい深い色にするのはとても時間がかかるんです。それをわかっているので、ホルスターやベルト、リュックサックのストラップを見た時、これを持っていた男がどれほどの冒険をしてきたんだろうと考えると感動するんです。決して完全に理解することはできないとは思いますが、このような素材を扱うとき、否定できない過去とのつながりを感じるのです。こうして思いを馳せるということが重要なんだと思います。

エンカウンター・コレクションについて簡単に伺えますか。

エンカウンター(Encounter:出会い)は私の思い出から生まれました。私の父は16歳のとき、祖父と旅行に行ったそうです。だから父は私と兄弟たちそれぞれが16歳になったとき旅行に連れて行ってくれました。息子とつながるためのこの大胆な行動がとても印象的で、旅の最後にカバンをあげたらきっと最高の贈り物になるだろうと思いました。動画を作ったのですが、友人がナレーションを務めてくれて、ある父親が息子たちに見せたかったものを語る物語を美しく朗読してくれました。とても力強い作品に仕上がったので、カバンを買わなくても是非見ていただきたいです。物を次世代へと受け継ぐことはとても意味のあることです。私たちのバッグは草木の色が移ったレザーで作られています。だから着古すということはなく、いつでも着られる物なんです。

スティーブン・ケンブランドのビジョンについて聞かせて下さい。

学び続けること、チャレンジし続けること、新しい人に出会い、深い質問をすること。創造力につながるものはたくさんあります。人生は不確かだからこそわくわくするのです。

創造意欲をかきたて、それでいて平穏でいられるというロサンゼルスはどういう場所ですか。

陳腐な答えに聞こえるかもしれませんが、この気候が本当に好きです。カナダもとても美しくて、年中バイクに乗って出かけられるのですが、それにも勝るものがロサンゼルスにはあります。この街に暮らす人々も好きです。希望に満ち溢れて、意欲的です。人は一旦決断すれば炎のように燃え上がり、なんでもできるということを忘れずにいられます。

ご自身のファッションスタイルを教えて下さい。いつも着るユニフォームみたいなものはありますか。またデザインする家具と通じるものがあるのでしょうか。

最近はバイクをよく乗るので、この日本で買ったガウディブーツとBaldwin(ボールドウィン)、Simon Miller(サイモンミラー)のジーンズをよく履いています。それからO.N.Sの無地のホワイトTシャツもよく着ています。お世辞ではなく、フィットが本当に良いんです。バイクに乗っていないときは、サルエルパンツとだぼっとした軽めのシャツとジャケット、それからArkkのスニーカーを着ています。

現在一番インスピレーションを得る物や人がいれば教えて下さい。

マックス・ラム(Max Lamb)を追いかけるのが大好きです。とても聡明で、幸運の持ち主だと思います。今年は彼の祖父の木を使った作品を買ったそうですよ。それからSnarkitecture(スナーキテクチャー)というデザイン企画ユニットの作品も好きです。

ロサンゼルス以外で飛び出して行きたい、または引越してみたいと思う都市はありますか。

ベルギーのアントワープが気に入ったので、そこでもっと過ごしてみたいですね。近々イタリアに行くんですが、それも楽しみでしょうがないです。でも数ヶ月滞在するなら日本が良いですね。

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