O.N.S MANUAL

女性ITジャーナリストがワインバカになった訳

ワインの世界は確定申告に似ています。なぜならそれを専門家に任せるのがベストだから。ぶどうの品種や礼儀作法、熱心なソムリエが使う小難しいフランス語などを覚えるのには、人生は短すぎると思いませんか。素人は選んだボトルが美味しいことを祈るしか仕方ありません。しかしビアンカ・ボスカーはそうは思いません。昔はテクノロジー分野のジャーナリスト(そして単なるお酒好き)だった彼女は、ワインの味の奥深さを発見し、多種多様な特徴とフレーバーを探求することに没頭してました。ニューヨーク・タイムズから出版されたベストセラー「CORK DORK」(コルク・ドルク、コルクバカという意味)はアンダーグラウンドなワインとはどんなものか、ニューヨークの超高級レストランで誰しもが思う「このワインがなぜそんなに特別なのか?」という疑問に答える一冊です。私達はビアンカに質問する機会を得たのでなぜソムリエという波乱の道へ進んだのか聞いてきました。

まずは著書「コルク・ドルク」がニューヨークでベストセラーになったということでおめでとうございます!この本のコンセプトについて聞かせてください。

昔はただお酒を飲むのが好きで、土曜の夜はボトルワインにするか紙パックのワインにするかで悩んでいるような人間だったんです。ブルゴーニュにするかボルドーにするか、ではなくね。でもエリートソムリエたちと、その味の狂信的な世界、つまりコルクバカな人たちの世界と出会い、ハマってしまいました。彼らは舌を鍛えるために岩を舐めたり、パートナーと離婚してまでブドウ畑の土の種類を勉強したり、大酒飲みたちのドッグショーとも言えるワインショーに出るために休日を費やしたりしているのです。こんなに熱狂している人がいることにまず熱狂しました。何がこの人達をコルクバカにしてしまうのか。なぜワインなのか。取るに足らないことなのか、それとも私が人生の最高の幸せの中のひとつに気づいていないだけなのか。

ワインの味がよく分かる人たちは爆発物を探し当てる警察犬なみの、優れた嗅覚を持っているということに気づきました。それから私の好奇心はよりパーソナルなものになっていきました。オンラインニュースサイトのIT分野の編集者として5年働いていた時のことです。コルクバカな人たちは感覚を開拓する世界で生きているのに、私は感覚を失っている世界、つまりスクリーンやウェブサイトの世界で生きていることに気づきました。私に足りていなかったものはテーブルに1杯のワインがある生活なのでは、と思うようになりました。そしてそれを証明しようと決めました。The Huffington Postのエグゼクティブ・テクニカル・エディターを辞めて、セラー・ラットというワイン界の中では最下位の仕事からやり直すことにしました。そこからソムリエになるトレーニングを始めたのです。

「こんなに熱狂している人がいることにまず熱狂しました。何がこの人達をコルクバカにしてしまうのか。」

ワインのようなちょっと気取った雰囲気のある業界に、そんな面白いアプローチをしたなんてすごいですね。プロとしてワインを扱うことを決意したのはなぜですか。

ソムリエたちと彼らのアパートで遅くまで飲みながら時間を過ごすにつれ、最高の舌を持つ人たちといることで私の感覚も研ぎ澄まされていきました。スピッティング(口に含んだワインを吐き出すこと)の妙に酔いしれました。今までワインについて読んだり見たりした以外の、サブカルチャーに魅了されてました。飲み物のことなので見かけは楽しそうに見えますが、今の時代のソムリエ、”Somms”(ソムズ)は驚くほど大変な苦労をしています。

これが『コルク・ドルク』の読みどころでもあります。ワイン業界は得てしておとぎ話のように語られることが多いです。ロマンと伝統で溢れています。『コルク・ドルク』では普段あまり知られることのないワインの世界を裏側、ワインの魂と科学を余すところなく紹介しています。そして私がついに見つけたワインの目利きの真実は、ロマンや多くの人が考えるキレイなものよりはるかに面白くまた複雑でした。ぶどうからワインになる工程の話より、ぶどうから人々の食道への旅の話をしています。ミシュランスターのレストランから、掘り出し物の大宴会用のワイン、神経科学の研究室や大量消費ワインの工場まで、あらゆる角度からワインを検証しています。

「私は色々なことを諦めました。例えばコーヒー、香水、香りつきの洗剤、1日に何度も歯を磨くこと、室温以上の飲み物、余分な塩、それからもちろん日中しらふでいること、です。」

もしソムリエのことを全く知らない人にソムリエの仕事を説明するとすると、どのような職業でしょうか。どのような要素がありますか。

基本的なところで言うと、ソムリエはレストランのためにワインを買って、ゲストに売り、サーブします。しかしその中でも最も才能ある人たちは自分たちでワイン、言葉、雰囲気、心理学を駆使して、そこでしかできない体験を一杯のグラスを通してプロデュースします。コルクを抜くだけではく、ストーリーテラーになるのです。

私に影響を与えてくれたソムリエたちはワインを仕事としてでなく、生き方として見ていました。一流のソムリエになることはロースクールに通って弁護士になるより難しいと思います。ボイストレーニングをし、記憶力を鍛え、スポーツ心理学を学び、フロアをエレガントに動くためにダンスのレッスンを受けているのです。夜遅くまで長時間労働のうえ、たいてい週7日働いています。そして貴重な空き時間には単語帳を開いて、ワインのテキストにある知識を詰め込むか、ブラインドテイスティングをしています。かなりの自己犠牲を強いられます。ソムリエの先生からのアドバイスで私は色々なことを諦めました。例えばコーヒー、香水、香りつきの洗剤、1日に何度も歯を磨くこと、室温以上の飲み物、余分な塩、それからもちろん日中しらふでいること、です。

ソムリエになるための旅に出る前はなにをされていたのですか。

昔はThe Huffington Postでエグゼクティブ・テクニカル・ディレクターを5年務めていました。コルクバカたちが言う「一般人」でした。聖なるテイスティンググループや、レストランのフロアで働くに値しない、アウトサイダーだったのです。でも、そのコルクバカの仲間になりたかったので、それに見合うようにならなければなりませんでした。どれくらい大変なことか説明しましょう。私もついに素晴らしいマスター・ソムリエが主催するブラインドテイスティングのグループに入る許可を得ました。ニューヨークのトップレストランで秘密裏に行われているイベントです。ただし一つ条件があり、私のレベルではワインをテイスティングし、味わうことはできても、喋ることは許されていないのです。

正直に言うと、ワインを選ぶというのが結構こわいです。例えばワインが100種類あるレストランに来て、ソムリエがこちらをうかがっているとパニックになってしまいます。ソムリエと上手く会話して完璧なワインを見つけるためのコツを教えてください。

多くのレストランがワインリストをまるで選択式の試験のように出してきます。「正しい」答えをソムリエに渡さなくてはならないような雰囲気です。しかしソムリエの友人と出かけて気づいたことは、ワインについて詳しければ詳しいほど、ワインを頼むときに細かい注文はしないことがわかりました。ソムリエを信頼していれば、情報を2個伝えるだけなんです、どのくらいお金をかけたいかと、どのようなフレイバーが好きか、だけです。後者は「先日すごく美味しいScar of the Sea のシャルドネを飲んだのだけど、それに似たのはありますか」と具体的に言ってもいいですし「草のような味のするワインが好きなんですが」とざっくりとした注文でも大丈夫です。ソムリエはゲストよりワインリストを熟知していますから、その中からあなたに合った1本を案内してくれます。

もし数字を上げるとしたら、1本のワインにいくらかけるとがベストだと思いますか。

なんて質問なんでしょう、それはもう人によります!もし大金を出せるというのであれば…人生は短いですからね、ぱあっと行きましょう。でもハードカバーの本よりはお金を出せる、ということであれば良いワインは飲めますよ。

ビアンカはSNSも活発に配信していますね。特にインスタグラムの#Pairdevil(悪魔の組み合わせ)のアイディアはどこから来るのですか。

残念ながら、今でも多くの人にとってワインは横柄な貴族のように見えることがあるでしょう。エリートなわがままなワインは特別な場面、記念日やステーキディナーで飲んだほうが良いと思われています。でも私はワインがその場面を特別にできるものだと思っています。#pairdevilの目的は日常で食べるものとワインを組み合わせるというインスピレーションを発信して、ワインをもっと楽しく、怖がらず、とっつきやすくしたいと思ったからです。ワインがそうあるべきなように、私もゆるく表現しています。

なのでシェイクシャックからカップヌードルまで色々なものとペアリングして(組み合わせて)います。(#pairdevilは毎週水曜日にアップしていますので、FacebookInstagramTwitterをチェックしてください)それからどんなに自信のある人でも、ワインを選ぶことになると途端に弱腰になってしまうとわかりました。なので私は二日酔いや単語帳の記憶、ソムリエトレーニングのために腎臓にしてきたちょっと言えないことを、人の役に立てるように使うと決心したんです。

その他に注目すべきプロジェクトはありますか。

ワインについてはまだまだ沢山のストーリーが有り、掘り下げて伝えて行くつもりです。『コルク・ドルク』のために研究した結果、多くの疑問が出てきたのでそれらを『The New Yorker Online』や『Food & Wine』で紹介し、答えを出しています。つい先日『Is Terroir Real(土地は本当にワインの良し悪しを決めるのか)』という記事を書きました。またワインのセクシズムと古き良きアメリカ紳士クラブに言ってみた経験談についても書きました。(こちらから読めます。)

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