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穴場のイルミネーションスポット:マーチエキュート神田万世橋

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冬になり、クリスマスシーズンを迎える頃になると、東京には数々のイルミネーションスポットが出現します。有名な所だと表参道の並木道、恵比寿ガーデンプレイスのバカラのシャンデリア、丸の内の街路樹etc.…。中目黒で人気を博した“青の洞窟”は、スケールアップして渋谷で復活しました。そんなまばゆいばかりのイルミネーションとは毛色の違うイルミネーションスポットが、秋葉原のすぐ近くにあります。まだそれほど多くの人に知られていません。そしてここ、実はただのイルミネーションではありません。その向こう側には、他ではなかなか味わえない異空間が横たわっていました。

赤レンガ造りのアーチをライトアップ

アニメ、コスプレ、地下アイドル、電気街。それらが縦横無尽に入り交じるカオスの地、秋葉原。秋葉原駅を出て中央通りを3分ほど南へ歩いた所に、それが出現します。「マーチエキュート神田万世橋」です。歴史あるアーチ型の赤レンガ建築。そこにオレンジ色のライトアップが施され、東西に140メートルにも渡って鎮座しています。この厳かなイルミネーションを満喫するベストスポットは、神田川に掛かる万世橋の上。優しい光にライトアップされたアーチは暖炉を思わせ、それが視界の果てまでズラリと並ぶ。さらにはそれが神田川の水面に映し出されて対になる。派手さで勝負するイルミネーションとはまた違った方向性の幻想世界が目の前に広がります。こんな光景が、騒然とした秋葉原のすぐ脇で見られるというのにも驚かされます。

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100年前に賑わった都内屈指の繁華街。その夢の跡

しかもこちら、ただのイルミネーションではありません。実は「幻の駅」の名残りなのです。このアーチ型の建物、もともとは1912年に開業した国鉄・万世橋駅の高架式ホームとして建設されたもの。今も高架の上には線路があり、そこを中央線の列車が通過していきます。開駅直後はターミナル駅として大いに栄え、駅周辺は銀座と並ぶほどの賑わいを見せたといいます。付近には飲食店や、演芸場などの娯楽施設、宿泊施設が立ち並び、ここを拠点に郊外に出かけていく人、逆に郊外からここへやって来て徒歩や人力車、市電の路面電車で都心に繰り出す人、そして純粋に賑わいを求めてやってくる人らによって往来はごった返しました。

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万世橋駅の初代駅舎を設計したのは、名建築家・辰野金吾。現在も残る東京駅や日本銀行本店を設計した人物でもあります。確かにこの旧万世橋駅の高架にも、東京駅の赤レンガ建築と相通じるものを感じます。

一時は繁栄を極めた万世橋駅も、1914年に東京駅が開業し、1919年には通過駅となったことで、人の往来がグッと少なくなります。そして1943年、太平洋戦争激化の中、乗降客数の少ない万世橋駅の休止が決定。以降は交通博物館として長く使用されます。しかしその交通博物館も2006年、施設老朽化などの理由で埼玉県に鉄道博物館として移転。その後しばらくの間、旧万世橋駅跡地は何にも使われない状態が続きました。

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そして2013年。旧万世橋駅の遺構を利用した商業施設「マーチエキュート神田万世橋」がオープン。アーチ型の高架橋には飲食店やファッション・雑貨店などが入り、高架の上の旧ホーム部分にはカフェとテラスが設置され新たに生まれ変わりました。開業にあたってリノベーションの建築設計を担当したのは、気鋭の建築事務所・みかんぐみ。もともとある美しい躯体には極力手を加えず、設備を床下にうめ、アーチ空間を際立たせる方針のもと作業は行われたそうです。こうして100年も前に建てられた荘厳な赤レンガ建築は、ほぼ当時の姿のままで再び日の目を見ることとなりました。

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橋を渡って未知なる世界へトリップ

万世橋の上から幻想的なイルミネーションを堪能したら、いざ橋を向こう側へ渡ってみましょう。そこにはさらなるファンタジーが待っています。イルミネーションとは反対側の高架橋には、「1912階段」「1935階段」という2つの階段が設置されています。これは数字の通り1912年の駅開業当時に作られた階段と、1935年に作られた階段がそのまま残ったもの。いざ1912階段へ入ると、そこには美しい白タイルの世界が広がっています。くすんだ壁や床からは100年という時の重みをひしひしと感じます。足音も話し声も不思議な具合に反響し、今いる場所が現実なのか夢の中なのか次第に区別がつかなくなってきます。耳をすますと、100年前の音が聞こえてきそうです。

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1912階段を登り切るとカフェとデッキがあり、視界の両サイドすぐ近くを中央線の車両が通り過ぎていきます。デッキを歩き、今度は1935階段を下ります。1912階段よりは新しいとはいえ、こちらも優に戦前の建築物です。この2つの階段と上のデッキ部分は共にフリースペース。時間内であれば誰でも自由に行き来できます。再び外に出て高架橋の赤レンガを眺めてみると、あらためてその圧倒的な質感に驚かされます。目を上に向けると、これも開駅当時からの遺構であるメダリオン装飾も見られます。建物の中には最高品質のコーヒー豆を扱うOBSCURA COFFEE ROASTERSや、洗練されたインテリア・雑貨を扱うhalutaなど12の飲食・雑貨店が入居。趣ある建築と、東京らしい旬なショップというコントラストにもグッとくるものがあります。ちなみに川側にもフリーのオープンデッキスペースが設けられているので、そこにコーヒーやビールを片手に佇むのも粋。ここからイルミネーションを眺めるのもまた一興です。

すぐ南にある戦前の町家建築もセットで楽しむ

さらにマーチエキュート神田万世橋のすぐ南の神田須田町界隈には、1930年創業当時の建物がそのまま残る甘味処「竹むら」をはじめ、あんこう料理の「いせ源本館」、蕎麦の「神田まつや」、鳥すきやきの「ぼたん」といった昭和初期の歴史的建造物が集まっています。万世橋のイルミネーションとあわせてここまで足を伸ばせば、まるで『千と千尋の神隠し』の世界に迷い込んだかのような体験を味わえます。

秋葉原からほど近い場所にある穴場のイルミネーション。その向こう側には、秋葉原のそれとはまた違ったファンタジー世界が広がっている。この橋を渡らないのは、ちょっともったいない気がします。


マーチエキュート神田万世橋「暖イルミ」
2017年2月19日(日)まで点灯

All Photos by Keta Tamamura (Erz)
Text by Akihiro Tajima

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