2018.01.10

THE BRIEF – ISSUE #2
「癒やし」と「胸騒ぎ」が同居するプラントアート
川本諭(GREEN FINGERS)

「GREEN FINGERS」という活動名のもとで、東京の名だたるショップを独特の植栽アートで飾ってきたプラントアーティスト・川本諭。2013年からはニューヨークにもフラッグシップショップを構え、FREEMANS SPORTING CLUB、Todd Snyder、Adidas、Mr.Porter、&Other Storiesを始めとする数々のショップの空間づくりを担ってきました。植物という題材を用いながら、「生と死」「癒やしと胸騒ぎ」といった相反する要素を内包するようにさえ見えるその無二の作品は、いったいどのように生まれるのでしょう?そのルーツとあわせて訊いてみました。



どのような経緯でプラントアーティストになったのでしょう?

20代前半のときに、東京・三宿のTHE GLOBEというアンティークショップで働くことになったのがはじまりです。その前はパーソナルトレーナーをずっとやっていました。一生この職業でいいかなとも思ったのですが、植物とインテリアに執着があり、これが仕事になったらどうなるのか、試してみようと思いました。当時THE GLOBEには庭があり、ちょうど植物もインテリアも扱える人を募集していたのですが、僕はほとんどハッタリで「できます」と言って入りました。そこから独学で植物やインテリアのことを学んでいったのが今のベースになっています。結局、THE GLOBEでは7年ほど働きました。

その後、あるお客さんと一緒に青山でカフェを立ち上げることになり、僕はプロデュース側に入って空間づくりをしました。それが2002年のことです。カフェには僕のアトリエも設け、インテリアやお店のグッズをデザインしていました。それとは別に僕個人としてオンラインショップを開き、海外で集めてきた雑貨や服と一緒に、植物をアレンジして自作したリース等を売り始めました。だんだんと自分のセンスで売る感覚ができてきたので独立することにしました。

独立の1~2年後の2009年に、代官山に実店舗の1号店をオープンしました。海外で買い付けてきたインテリアや雑貨と植物をコーディネイトして販売していました。翌年にはフラッグシップショップとなる三軒茶屋店ともう1店をオープン。その後インテリアショップ・ACTUSとコラボしたKNOCK by GREEN FINGERSをオープンしたり、NYにも店を構えたりと活動がどんどん広がっていっていき今に至ります。

当初から現在と同様に、植物とインテリアの両方を扱うスタイルだったんですね。

もともと洋服とインテリアの両方が好きで、その中に植物というものがありました。だから単に植物屋さんというのではなく、ライフスタイルを提案する人というスタンスで、しかも自分がいいなと思うことを丸ごと表現するという形をとりました。他にはない唯一無二の存在でいたいなと思ってやっています。

東京のみならずNYでもそうそうたるショップのインテリアを手掛けられています。NYに進出しようと思ったのはなぜでしょう。そして成功の要因はなんだったと思いますか?

最初は個展をNYかパリのどちらかでやりたいと考え、パリは以前行ったことがあったので、NYを見てみようと初めて訪れたところ、自分にすごく合っていて身体にすっと入ってくる感覚があったんです。あ、これはNYだなと決めました。ところが個展を開くための良い場所がなかなか見つからなかったので、それなら1年間限定でお店兼アトリエを開いてしまおうと。それで物件を契約し、お店を始めることになったんです。ところが1年やってみたら全然やりたいことがやりきれず、反省点しか見えてきませんでした。最初は本当に99%の不安と1%の自信でNYに来ましたが、1年経ったらそれが半々くらいになっていました。それならもう1年やってみようか、今度はこんなふうにしてみよう、とやっているうちにNYに来て早4年が経ちました。

そもそもなぜNYで個展をやろうと思ったかというと、NYを初めて見た時に自分がやりたいようなことをしている店がなかったからです。これは自分がやらなくては、と感じました。それで郊外のアンティークのフリーマーケットに出向いてちょっと良いものを買い付け、それを植物と合わせ、横に古着も置くというスタイルの店を始めました。そういう空間はNYではまずなかったので、そんなところがNYの人たちに刺さったのかなと思います。よく「あなたの店は本当に面白いね」と言ってもらえます。

これまでで特にエキサイティングだったプロジェクトは?

心に残っているのは2015年11月に東京・原宿のラフォーレミュージアムで単独で開催した個展です。この時は高さが5メートルほどもある木をビルの中に上げ、ミュージアムに6つの回遊できる部屋を作りました。自身にとって表現性の高い作品になりました。

それと、こちらも2015年ですがNYの42丁目とフィフスアベニューの交差点のコーナー2辺に作った、&Other Storiesのウインドウディスプレイです。NYの真ん中の天高が10メートル近くもあるショーウィンドウに脚立を立てての作業ということで緊張感もありましたし、とても興奮しました。だんだんとできあがっていくにつれて人が立ち止まり始め、「いいよ、いいよ!」とジェスチャーを送ってもらったのもすごく心に残っています。

GREEN FINGERSの空間作りの哲学とは?

やりたいことをとことん表現すること、でしょうか。僕はお金のことを考えられなくて、材料費をつぎ込むことが多いです。足りないからもっとこれを買おうとなり、その結果、利益がほとんど出ない、ということも昔はよくありました。こっちの方がかっこいいけど、安いからあっちを使おうというのができないのです。やっぱりその空間がいかに魅力的になるかを優先してしまいます。いろいろな人の目に触れるわけだし、クライアントさんやお客さんたちの喜んだ顔、驚いた顔が見たい。だから妥協できないんです。

あとは自分らしさをどこかに出すというか、ブランドの良さは全面的に出しつつ、誰にも気づかれないかもしれないけどメッセージをどこかに残すことを意識します。それでも作業し始めると無心でやってしまうので、本当にやりたいようにやっているというだけですね。

川本さんの作品には「生と死」「癒やしと胸騒ぎ」といった相反する要素が同居しているように感じられます。そういった空気感はどのようにして生まれるのでしょう?また何かインスパイア源のようなものはありますか?

生きているものには勢いと朽ちて行く様が同居しています。それを表現すべく、いろいろな素材を使って空間を作っています。インスパイアの源になるものは、自分の脳みそ。日ごろ目にする様々な光景、人との繋がりがそれに当たるのかもしれません。

最後に、いま予定しているプロジェクトを教えてください。

10月の中頃に、ミラノにGREEN FINGERSのお店ができます。コルソベネチアという通りにあって、すごく素敵な空間になっています。偶然にも9月にイタリアのコリエーレ・デラ・セラという新聞社が出しているインテリア雑誌『Living』で僕を大きく取り上げてもらいました。そして来年には、ヨーロッパのもう1つの大きな都市にも店ができます。こちらも追って発表したいと思っています。日本だと10月13日に群馬県にオープンする北関東エリア最大級のファッションビル「高崎オーパ」の6フロア分の植栽演出を行います。NYでは10月にjohn masters organicsのサロンの植栽演出を手掛けます。来春にはjohn masters organicsの日本のお店も手掛けます。

GREEN FINGERS official website
http://www.greenfingers.jp/
http://www.greenfingersnyc.com/

Twitter/Instagram:
satie_san
greenfingersmarket
greenfingersjp

FB:satoshi”satie”kawamoto

Photo by Yosuke Suzuki(Erz)
Text by Akihiro Tajima

SIZE GUIDE
トップス
サイズ S M L XL
着丈 71-73 73-75 75-77 78-80
胸囲 89-94 97-102 107-112 117-122
袖丈        
長袖 63-64 65-66 66-67 67-68
半袖 21-22 22-23 22-23 23-24
ボトム
サイズ
(インチ)
28 29 30 31 32 33 34
ウエスト 78-80 80-82 82-84 84-86 86-88 88-90 90-92
前股上 20-24 20-25 21-25 22-26 22-27 23-27 24-28
裾幅 31-33 31-34 31-34 32-35 32-36 33-37 33-38
※すべてセンチメートル表記 CLOSE