O.N.S MANUAL

アートとゴーストの関係性:ラングドン・グレーブス

最近、好奇心をそそるゴーストの話を耳にされたでしょうか。ラングドン・グレーブス(Langdon Graves)さんの最新の展覧会 “Spooky Action at a Distance”(遠くの不気味な行動)は、彼女の言葉を借りると、はかない記憶をたどり、未知の物への探求を試みたアート作品です。ラングドンさんはいつも人々の「信条」に魅了されているそうです。ほとんどの作品の主題は宗教、風習、神秘主義といったものに焦点を当てています。“Spooky Action at a Distance”では超自然的なもの、さらには祖母がしてくれたというゴーストや精霊の話が盛り込まれています。
祖母が心臓発作にあったあと、ラングドンさんはそれらの話にさらに興味をもつようになったと教えてくれました。展示には祖母の家から持ちだした置物を使用して、ノスタルジックな雰囲気を散りばめました。だからこのような生き生きとした展覧会になったわけです。私たちは彼女のアートの裏側にあるインスピレーションの源についてさらに知るために、展覧会に赴きました。するとラングドンさんの「見るものを信じる」という、超自然と科学の間の微妙なラインを行き来する、巧妙なアプローチ方法が見えてきました。
最新の展示“Spooky Action at a Distance”はシュールで鮮やかな色が詰まっていますが、この作品全体のテーマはどういったものなのでしょうか。
私の作品全てに共通する大きなテーマは”Belief”(信条)です。信条というのは調べてみるといつも面白い道に続いているんです。宗教、風習、医学、神経神学(スピリチュアルな体験と生物学的な関係を探る学問)などです。今回の展示の中心となるアイディアはもっと個人的なことで、1年半前に祖母が心臓発作で倒れたことがきっかけになりました。チャンスがあるうちに祖母の人生を出来る限り知ることが、いかに大切かということに気づいたのです。私が小さいときから祖母は今まで体験した不思議で、超自然的な出来事を私に語るのが習慣でした。祖母はゴーストの存在を信じていて、その話を聞くたびに心のなかで描いたイメージが今も離れずに私の中にあるんです。この主題を深く掘り下げて、作品を作りたいとずっと思っていました。

展覧会のタイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか。
このタイトルにはいくつか意味がありまして、そもそもこれはアルベルト・アインシュタインが奇妙なもつれの現象を発見したときの言葉なんです。簡単に言うと、物理的には離れている2つまたはそれ以上の分子が実はリンクしているので、科学者は一方を観察することでもう一方の状態も予測することができるという状態を見つけたときの言葉です。この事象と、タイトルの詩的なフレーズは何度も物理学者とオカルト信仰者によって繰り返し用いられてきました。自分たちの信条を信じて止まないオカルト信仰者は、アインシュタインの言葉を「生」と「死」の全ての側面が目に見え、理解できるというわけではない、ということを言い換えているのだと言いました。さらに具体的に言うと、人間から出るエネルギーでさえ、その肉体から独立して存在し続けることができるだろうということです。実はアインシュタインに行き着いたきっかけとなったのは、アプトン・シンクレア著の『Mental Radio』という本でした。その本は作者の妻マリー・クレイグ・キンブローのテレパシー体験を記録したものです。前書きにはアインシュタインが文章を寄せていました。アインシュタインは友人であるアプトンの信条を信じていないし、その信用性を保証することもしないと言っています。ここに私は、祖母の体験に対する自分の立ち位置を見出したんです。私は懐疑的ですが、それでも否定することができない感情的なつながりを感じていたのです。超自然体験のことを即座に信じることはありません、しかし祖母のことは信じているのです。

この展覧会に一歩足を踏み入れると、家にいるような雰囲気があったり、ノスタルジックな色が使われていたりしますね。これを作り上げる過程はどのようなものだったのですか。
作品のため、そして見てくださる方のために環境を作り上げることは、ただ壁に絵を飾るよりももっと面白いと思っています。物、壁紙、色、絵といったものの関係性が、親近感があったり、少し映画的だったりすることにより、ただの視覚的な体験だけでなく何かを語りかけてくるのです。そうして見る人を感動させるのです。今回は特に祖母の家での思い出や、彼女の話から想像していたイメージから着想を得ているので、特定の時代の家庭の雰囲気を醸し出していますね。
制作はどれぐらいかかりましたか。またどのような素材を使用したのですか。
実はこの作品はとても早くできました。というのも2ヶ月前にフロリダで個展をやったところだったので。展示会と同じタイトルの『Spooky Action at a Distance』というポートレイト以外は既に作ってありました。このポートレイトは祖母の19歳のときの写真を使っています。素材は黒鉛で描いたものから、手で彫った木の彫刻や、見つけてきた置物、またデジタルでデザインした壁紙など様々です。作品がなんであれ、その作品が必要とするやり方で作りました。

「タバコは祖母の家で育ったときによく見た物ということで、すぐに思いつきました。」
この展覧会には素晴らしいモチーフがたくさん隠されていますね。一つはこの白いカラスとタバコです。この作品の裏側にある意味は何なのでしょうか。
「良いモチーフが隠されている」というところが、この展覧会の魅力であると思っています。目で見てそれらを発見してくださるのがいつも嬉しいです。この白いカラスはウィリアム・ジェームズという哲学者の名言からインスピレーションを得ています。共通の関心事で人とつながることを推奨した人物で、米国心霊現象研究会(the American Society for Psychical research)の創設者でもあります。魂でのコミュニケーションの可能性について質問されたとき、彼はこう答えたそうです。「もし全てのカラスは黒い、という真理を覆したいなら、カラスは存在しないという仮説を求めてはいけない。たった1羽、白いカラスがいることを証明すれば十分なのである」と。タバコは祖母の家で育ったときによく見た物ということで、すぐに思いつきました。でもその後リサーチをして、儀式的なタバコの歴史などを調べました。タバコは原始的な文化では恐ろしいと考えられていた乾燥したハーブや植物を燃やし、吸引するという歴史的な発明だったのです。だからタバコは精神世界への入り口だと考えられていました。

そして白い手袋も重要な要素になっています。
この白い手袋にはこんな意味があります。祖母が小さかった頃、マリー叔母さんが亡くなって、お葬式のために遺体を数日間家の中で保管していたそうです。祖母の父は葬儀屋だったので、死というのは彼女にとって日常的なものでした。お通夜の前夜、祖母は叔母さんの部屋で寝ていたんですが、夜中にドレッサーの引き出しを開けたり閉めたりする音が何度か聞こえてきたそうなんです。それで見てみると、引き出しの端に白い手袋が綺麗にかかっていたそうです。その記憶の中ではいつもお葬式の花の香りがすると言っていました。この話がずっと残っていて、私の中で白い手袋がゴーストのシンボルになったんです。

ラングドンさんは死後についてスピリチュアルな面、科学的な面の両方を研究していらっしゃると思います。この展覧会をすることによって、超自然のほうが信じられると思いましたか。
この主題に対する私のスタンスはいつも懐疑的です。面白いことに、私の祖母もとても疑い深くて、実践主義だったんです。だからこそ祖母の話にこんなに興味を持ったんだと思います。見ないと信じられない、でも、時々信じている人たちの目を通して何か違うものが垣間見れるのです。
作品を作り上げる過程でなにか面白い発見はありましたか。
作品を仕上げるためのリサーチをしている間に出会った一冊の本が、お気に入りの発見です。ダン・エンクロイド氏の父、ピーター・エンクロイド氏による『幽霊の歴史:降霊術、霊媒、幽霊、ゴーストバスターの本当の話』※という本です。この本は彼の祖父が20世紀前半に彼らの家で行った降霊術の儀式を記録した日記で構成されています。これが後にダン・エンクロイドの映画『ゴーストバスターズ』につながります。この映画の多くはエンクロイド家で起こった実際の出来事を引用しているのです。例えば、「エクトプラズム」※の存在などです。私はこれは80年代の科学用語のように聞こえる作り物の言葉だと思いましたが。
※エクトプラズム:霊媒の体から発するという心霊体。
※原題 A History of Ghosts: The True Story of Seances, Mediums, Ghosts and Ghostbusters

アート以外で、関心を持っている分野はありますか。
スタジオにいないときは、パーソンズとプラット・インスティテュートで教授をしています。また10代のアーティストのメンターも務めています。教えるということはアーティストとして、また文化的な貢献として必要不可欠なものです。ウクレレを弾くことと歌うことも好きです。許されるなら1日中弾いていたいですね。
最後に“Spooky Action at a Distance”の次には何がありますか。新しい作品を計画されていますか。
9月にアーカンソー中央大学のバウムギャラリーにて個展を開く予定です。過去2回やった展示の4倍ものスペースになります。緊張していますが、新しいことに挑戦することが楽しみでもあります。
“Spooky Action at a Distance”は2016年5月?6月、ニューヨーク Victori + Mo にて展示されていました。

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